問題は何か - ザ・ゴール -

「反転し歪む駅構内」

工場の生産現場におけるプロセス改善をテーマに小説仕立てで学習できるようになっている本です。正直お金の難しい話は良く分からなかったのですが、従来考えられていた手法に対する新しい考え方を提示し、どうやらそれはとても効果があるということは理解できました。
この本に書いてあることを実践して大きく利益体質が改善した組織がある一方で、上手く実践できずに困っているところもあるそうです。上手く行かない理由にはいくつかあるようですが、そのうちの一つである「評価基準の変更を容認するよう意思決定者を説得できない」という項目には納得行きました。
私は次のことを常々思っています。権限を持たない人には結局のところドラスティックな改善を行なうことができない、と。まあ、権限と責任は一般的に表裏一体なので、権限の無い人(責任の無い人)が何かの手法を良さそうだ、採用すべきだと主張したところで失敗してもその人に責任は無いわけで、その人は言うだけタダの状態なわけですよね。だから下っ端による組織構造変革の提案が出来ないのは当たり前といえば当たり前のわけです。責任をとらない権力者については個人的な見解を差し控えさせていただきます。
本書の主人公であるアレックスも、MBAを取得して工場の責任者に任せられた、という役が与えられており、その上で権限と責任を持って改革に当たる、というストーリーなのです。だから本書でも次のように書いてあるわけです。

本書だけを便りに成功を収めた会社もあった。彼らに共通していたのは、分析力の高いカリスマ的なプラント・マネジャーに率いられていたことだ。

少なくとも読み物としてもかなりエキサイティングなので、どこかで見かけたら読んでみるのも良いのではないでしょうか。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か