NHKスペシャル・テクノクライシス

第3回は飛行機エンジンのタービンブレードのお話でした。タービンブレードとは燃焼ガスの噴出を回転運動に変換するエンジン部の羽根のことで、高熱の燃焼ガスとものすごい回転速度から発生する遠心力に耐える宿命にあります。どうやら燃焼ガスの温度を上げて勢いを増す事で燃費が上がるらしく、丈夫なタービンブレードを作ることすなわちエンジンの性能に直結するといっても差し支えはないようです。どこのエンジン会社も限りなく性能を追求するので、ぶっちゃけていうと壊れるギリギリの負荷がタービンブレードにかけられています(そして実際に壊れているわけでそれがこの番組のテーマでした)。
ブレードの形状や素材については延々と研究が進められています。ブレードに適する新しい素材が開発されたとき、エンジン会社はその素材を使って2つの選択肢に迫られます。それは

  1. より高熱に耐えられるように設計する(性能重視)
  2. より長時間劣化に耐えられるように設計する(安全重視)

というものです。エンジンの性能が上がると、少ない燃料でより遠くに行けるようになるわけで、それがコストのカットに貢献できますし、途中で中継する空港の数も減り、より利便性が高まります。逆に劣化に耐えられる能力が身につくと、ブレード交換のコストが削減されますし、事故の確率も下がるわけです。
なんでこんな話をしているかというと、ゲーム機の性能向上を何に使うのかという選択肢とかぶって見えたからなのです。

  1. より高度な処理をできるように設計する(性能重視)
  2. より簡単に開発できるように設計する(作りやすさ重視)

エンジンの開発にしてもゲーム機の開発にしても前者の選択肢は非常に外部に対しての訴求力が高いですよね。ブレードの交換が少ない、とか、より安全なんです、というのより、より早く、より遠く、より安くという言葉のなんと魅力的なことか。ゲームの開発なんて、ユーザ向けインタビューではむしろどれだけ手間をかけたかをアピールすることもあるくらいですからね(今やそれが本当にアピールポイントになっているかには疑問を感じますが)。
だからどうなんだ、と言われれば困るのですが、そんな事を番組を見ながら思ったのでした。