そのりくつはおかしい


産経新聞本日の記事「提言-ニッポン」より、ホンダのハイブリッド車燃料電池車の試みがうまくいって北米市場の販売実績が大変好調だった件について。ホンダ社長福井氏が次のように答えています。

一台当たり排出量の削減に取り組んでいても、ホンダの商品が売れすぎたら排出総量は減らないわけだ。だから、次の目標を設定するときには、もっともっと一台当たりの排出量を減らし、販売台数が増えても、CO2排出総量は減るくらいのシナリオを描かなくてはいけないだろう。

誤解してたら申し訳ないのですが、氏の言う排出量というのは、「ホンダという企業内の生産活動におけるCO2低減目標」の様に読み取れます。燃費の良い車が世に流通して世界としての燃費平均が向上することには余り興味がない様子です。
まあ、そこは一種のジョークだと受け取れなくはないですけど、次の意見は個人的にかなり面白かったです。産経記者が「燃費の良いクルマへの買い替えを促すため、古い車の税金を高くするという考え方もある」という車メーカーにとってちょっと都合の悪い意見を提案します。記者の意見が正しいかどうかは置いといて(古い車の税金を上げるのではなく、燃費の良い車の税金を下げるという代替案もありえるわけですし)、これに対して氏は次のように反論します。

そういう考え方もあるが、お客様が自然に買い換えるようにしないといけない。買い替えが進まないのは自動車を使わないのも一因だ。なぜ使わないかというと、道路は渋滞し、駐車場が不足しているからだ。政府は、運輸部門のCO2排出削減のためにも、道路特定財源をすべて注ぎ込んで、交通渋滞の改善や駐車場の整備を進めるべきだ

えと、自動車を使わない人って代わりに公共交通機関を使ってるわけで、そっちの方が地球温暖化対策によっぽど効果があると思うわけですが。
氏の理屈が出てくるのは、そもそもの目標が地球温暖化対策ではなく、車の買い替えにあるからなんじゃないのかなあ、と穿った見方をしてしまうのでした。
穿ちすぎ、かなあ。