GDC 4日目(1) 色んなセッション(2)

隣の部屋からテレビの流れる音と爆笑と手を叩く音が漏れてきます。
「ウホッ、ヒャーハッハッハハ!!」×10 みたいな。ダイナミックな楽しみ方だなあ(´・ω・`)
GDCも今日で4日目です。

Gears of War Iteration Wins

Gears of Warのゲームデザイナの方が語る開発手法についての話です。iterationという語の通り、GoWの開発では次のサイクルをぐるぐると回しながら開発を進めていったそうです。

  1. ブレインストーミング
  2. デザイン/ドキュメント(しっかりドキュメントを書いて、チームの皆に読ませるのが重要だそうです)
  3. 実装(とにかく動くものを作ります)
  4. テスト(ここで微調整します)
  5. Nudge(ちょっと意味がわかりませんでした。辞書曰く「少し進める」という意味らしいです)
  6. 以上繰り返し

面白かったのが、大まかなアイデアは最初にあったものの、どんなゲームになるのかはどんどん変わっていったところで、なんと、ジャンルがアクションゲームに決まったのも、途中からだそうです。彼曰く、最初からかっちりとした仕様書で最後まで作れればいいけれど、面白さなんてサンドボックスで感じながらじゃないと分からないよ、との事でした。
後は人間関係超大事とか、ゲームを遊んでいても改善点が思い浮かんでしまって素直に楽しめなくなってしまったとか、シェーダよりもまずはカメラワークだとか(これはビジュアルをUnrealEngine3に任せられるからこその発言かなと感じました)、参考になることが色々。宮本さんのkeynoteが次に控えていたので途中で退席。

宮本茂氏の講演

氏の奥さんが、Miiのキャラクタ作りを楽しみ、普通の人が物作りの楽しさに目覚めるというのは大きな出来事なんだよ、という感じの話から始まりました。自分の似顔絵キャラクタを作って楽しむという挑戦は今までにも何度もやってきていて、「でもそれ商売になるの」という質問に答えられずに今まで上手くいかなかったけれど、tenacity(執念)を持って続けてきたからMiiでやっとその答えが見えた、ということでした。
氏の講演タイトルは「Creative Vision」というものでしたが、最後に氏はこうも言っていました。ビジョンは人それぞれで、自分のビジョンと違うビジョンを持っている人を否定する気は全く無い。とかなんとか。今、ゲーム業界には多様性が求められているということなのだと私は解釈しています。

Final Fantasy XII Postmortem(事後分析)

宮本氏の講演がかなり延長したおかげで、これには途中からの参加です。私が部屋に入ったときは半分も埋まらずに閑散としていたのですが、案の定講演を聞き終わった人が押し寄せてきてすぐに満杯になりました。
開発におけるアートワークの比重がどんどん大きくなってきており、iterationのコストをいかに下げるかを命題とし、どのようなツールを作ってきたかについての説明でした。とても真面目な方の発表らしくセッションは淡々と進められていて、海外のジョークを交えた講演に比べたらちょっと地味な感じがしました。内容は充実しており参考になりました。

Is there anything Comparable to Spherical Harmonics but simpler?

「球面調和関数と同じくらいの能力でもっとシンプルな手法は無い?」というタイトルの示すとおり、球面調和関数に代わる新しい基底関数を提案していました。本当にシンプルな基底で、でも確かに上手く行きそうな気がしました。
Directional Light(平行光源)の場合は分かるのですが、Point Light(点光源)の場合の処理の辺りがいまいち分からずじまい…。

Real-World SPU usage

SCEA(?)のcentral technology groupによるSPU使用方法についての経験談です。主にspursについての解説でした。

  • Raw SPUとspursは使っているが、SPU Threadは全く使っていない
  • MotorStormではSPU-specificなコードは書かなかった(とりあえずSPUに載せた、という意味かな)。
  • Heavenly Swordでは2000体のキャラクタの更新をほぼSPU上で実行することで60fpsが出ている。

等々参考になる情報が山のように出てきていたのですが、ここでSPUの話を書いても余り意味が無いので省略します。PS3に命を懸けて研究開発しているだけあって、彼らにとってSPUはかなり気楽に使えるもののようです。個人的なツボは「チューニングする前に処理は可能な限りSPU上に載せまくれ、まずはそれで十分に高速化するから」というところでした。SPURS jobなら結構簡単に載せられそうだよなあ。でもマルチプラットフォームはどう対処するんだろう…。

How to Animate a character You've never seen before

Sporeというかなり革新的なゲーム(開発中)における異星人のアニメーション作成方法についてです。Sporeというゲームは、何本もの足、何本ものて、何個もの顔が存在しうるキャラクタをユーザが任意に作成することができ、それらのキャラクタに対して破綻無くアニメーションを実現する必要があります。
本セッションでは、その手法について述べられていました。めちゃめちゃ面白かったですが(interestingでもfunでもありました)、一般的なゲームと余りにもかけ離れた仕様ですので、あの話を聞いてどうこうするというものではないとは思います。ただ話したかったからセッションを開いてくれた、そんな風に見えました。Particle-IKは割と刺激を受けました。